FOLLOW US

UPDATE|2021/11/30

HKT48松岡菜摘が語るアイドルを10年続けてきた理由「いい意味で諦めるタイミングが来なかった」

HKT48 松岡菜摘 撮影/佐賀章広



それでも10年間、ひとつのことを続けていく、というのは簡単な話ではない。中学生からの10年。同じ仲間と、ずっと一緒に活動してきた10年。スポーツでいえば少年野球のチームがそのまま甲子園に行き、さらには揃ってプロ野球入りしたようなレベルの話。幼かった彼女たちが悩んだり、苦しんだりしないはずがない。

「1期生なので先輩がいないし、どうやって相談したらいいのかもわからない。“甘え方”を知らないで育ってきてしまったんですよね。それでいろいろ悩みも抱えていたんですけど、最初に48グループとしてNHK紅白歌合戦に出たときだったかな? たかみな(高橋みなみ)さんが『なにか悩んでいることない?』って声をかけてきてくださって。そのときに言っていただけたのが『とりあえず3年やってみよう!』。目の前のことで悩んだり、落ちこんだりするんじゃなくて、もう少し先のことを考えながら活動していけば、いろいろと変わるよって意味だったんですけど、あの言葉には救われましたね。

その言葉の本当の意味がわかったのは、ここ数年です。最初の5年間はとにかく一生懸命、活動していくだけで精一杯だったんですけど、5年を過ぎたら余裕が出てきたというか、自分のやるべきことやポジションも見えてきて。そこからあとはひたすら楽しかったんですけど、最初は本当に大変でした」

HKT48はメンバー同士の仲がいいことで知られており、特に1期生は「一生モノの友達というか、もはや家族」と松岡菜摘も断言するほどだが、そう笑って答えらえるのは、さまざまな苦悩を乗り越えてきたから、である。

「私の場合、同期のまどちゃん(森保まどか=今年5月に卒業)と『なつまど』としてセットで活動することが多かったんですけど、そうなると自分の中で比較しちゃうんですよ。それこそお客さんの声援を聞いても『まどちゃんのほうが声援が大きかった』って感じると『みんな、まどちゃんのことを見ていて、私のことなんて見てくれていないのかな……』って落ちこんだりして。いや、本当に公演やコンサートのたびにそうやって落ちこんでましたね。

ただ、本当に仲は良かったし、だからこそ、そういう部分はまどちゃんに相談できなかったんですよ。だから、まどちゃんがどう考えていたのかはわからなかったんですけど、卒業のときに『私も同じで勝手に比較して、いつも落ちこんでいた』って言われたんですよ。10年経って、はじめて知った真実だったんですけど、最後にそれが聴けて良かったというか、うれしかったですよね。なんか『あぁ、あのとき同じ気持ちでいてくれたんだ』って安心できました」

AUTHOR

小島 和宏


RECOMMENDED おすすめの記事