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UPDATE|2021/10/09

四千頭身・後藤が語るトリオ漫才「3人になったのは断れなくて、今でも2人の方がネタは書きやすい」

撮影/西邑泰和

お笑いトリオ・四千頭身の後藤拓実の初エッセイ集『これこそが後藤』(講談社)が話題だ。自身の生い立ちや家族、そしてお笑いについて綴ったこのエッセイ、独特な着眼点と意外な展開、そして絶妙なスピード感は文章でも顕在で、ネタを見ているかのように思わず笑わせられる。後藤にエッセイでも話題にしている学生時代の話や友達の話、相方やネタ作りについて聞いた。(前中後編の前編)

【写真】どこかぎこちない? 笑顔でインタビューに答える後藤拓実

――今回刊行した初エッセイ集『これこそが後藤』は『小説現代』の連載が元になっていますが、それまでネタ以外の文章を書くことはあったんですか?

後藤 ほぼネタしか書いたことがなかったです。連載当初は書くネタもあったから楽しかったんですけど、ネタ切れしてからは、担当編集の方にお題をもらって書いていました。

――序盤は日常生活で考えたことを題材にしたエッセイが並びますが、書くことで日常生活の見え方は変わりましたか?

後藤 これがね、あんま変わんなくて。書いている最中は、「日々そういうアンテナを張って生きよう」って思うんですよ。でも書き終わると、そんなこと眼中になくなるっていうか。あんまりアンテナを張らずに締め切りの日が来て、「忘れてたー」というのが(連載していた)1年間続いた感じです。あと日常でネタになるようなことって、漫才のネタに持っていかれるので、エッセイに書くことがなくなるんですよね。

――漫才のネタは後藤さんが全て書いていらっしゃるんですか?

後藤 そうですね。他の2人は全然干渉してこないです。

――それは結成当時から?

後藤 ずっと僕です。僕がネタを書いた方が面白いんで(笑)。

――ネタを作る上で影響を受けたものはありますか?

後藤 トリオ漫才なんで、あまり影響って受けようがないんですよね。コンビ漫才は参考にもならないというか、別のタイプの面白さだなって感じでしか見てないです。

――コンビ漫才をやりたいと思ったことはないんですか?

後藤 いまだに、思うことはありますよ。もともとトリオになったのも、僕が断れない性格だったというのもありまして。

――と言いますと?

後藤 養成所(ワタナベコメディスクール)の時に、都築(拓紀)と石橋(遼大)から別々に声をかけられて、2人にOKって言っちゃったという経緯がありまして(笑)。ネタ作りに苦労している時は、そんな昔の話を思い出します。ネタは2人の方が書きやすいと思うんです。以前書いたネタで、完全に石橋が出てこなかったときもあったぐらいで。

――ネタを書いている途中に、石橋さんが出てこないなって気付かなかったんですか?

後藤 気付かなかったです(笑)。そういうことは多々あります。そういうときは無理矢理、間に石橋の相槌だけ入れてなんとかします。

――相槌だけで、そこから展開させないときもあるのでしょうか?

後藤 ありますね。1分ネタのときなんかは仕方なく石橋は相槌だけ。

――それで成立するのもすごいですよね(笑)。石橋さんからクレームはないんですか?

後藤 ないです、ないです。
AUTHOR

猪口 貴裕


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