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UPDATE|2021/10/08

園子温がニコラス・ケイジ主演でハリウッド進出「メジャー感クソくらえ、世界中が驚くものを」

園子温(C)2021 POGL SALES AND COLLECTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

“鬼才”の名を欲しいままにしてきた人気監督・園子温が、いよいよハリウッドデビューを飾る。オスカー俳優ニコラス・ケイジを主演に迎えた異色の最新作『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』(10月8日公開)の構想秘話から、日本映画界に対する複雑な胸中まで、赤裸々に語る。(前後編の前編)

【写真】いよいよハリウッドデビュー、撮影現場でのニコラス・ケイジと園子温監督【12点】

── 監督のハリウッドデビュー作『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』は、かなりぶっ飛んだ作品でしたね。

園 僕としても、とにかくカオスにしたかったんです。人生で自分が面白いと思ってきたものをぜんぶ箱に詰め込んでぶちまけるみたいな、そういう感じにしたいなって。

──記念すべきハリウッド進出の第1弾でこれをやろうとなったのはまたなぜでしょう?

園 結果的にそうなったと言うか。送られてきた脚本はめっちゃ単純なストーリーで、古いマカロニウエスタン、メキシカン西部劇の雰囲気で撮ろうと思ってたんです。ガバナーと保安官と、ニコラス・ケイジが扮するヒーローの3人が砂漠に立っていて、ガバナーから「俺の娘が捕まっちゃったから連れて帰ってきてくれ」と頼まれたヒーローが、「わかった」と車で舞台のゴーストランドに向かう。ただそれだけの、ある意味、身もフタもないストーリーだったんで。

──確かに、そう聞くと往年の西部劇によくあるシチュエーションではありますね。

園 僕はセルジオ・レオーネの『ウエスタン』みたいな映画にしようと思ってた。そしたら、ニコラスと日本で会ったときに、 新宿のゴールデン街で飲み明かして、彼も「俺はチャールズ・ブロンソンをやるぜ」みたいなことを言ってたんです。でも、そのすぐあとに、僕が心筋梗塞で倒れて集中治療室に運ばれて、1分間死んで、蘇える……っていう出来事が起きて。そしたらニコラスがすごい心配してくれて、「メキシコで撮るのは大変だから、何なら日本で撮ろうよ」って言いだしてね。

もちろん長年の想いもあったから、ハリウッドデビュー作で日本かよって、最初は嫌だなとも思ったんですけど、そこは世界に向けて撮る作品だしなって考え直して。逆に「日本ってどんな国?」って聞かれて、うろおぼえな人たちが観て「あー、そうそう、これこれ」って感じになるような“めちゃくちゃな日本”を舞台にしたら、メキシコを舞台にするよりもフレッシュで、ファンタスティックになるのかなって。


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