――松坂さんのなかに確固たる日岡像があるからこそ、ぶっ壊れた上林のような存在の輝きも増す、という部分もあるでしょうしね。
白石 それは間違いないですね。実は去年1回目の緊急事態宣言のときに、桃李くんから「やりましょう」って誘われてオンライン飲みをしたんですけど、そのときは「こんなときじゃないとどこまで伸びるか試せない」ってすごいヒゲボーボーで(笑)。
でもその後にあった衣装合わせで久々に会ったら、ちょっとだけオラついた雰囲気をまとっていたんです。話すとすぐにいつもの桃李くんに戻りましたけど、あの感じだと、近所のコンビニに行くときなんかでも、密かにオラついていた可能性はありますよ(笑)。
――それとやっぱり、白石作品に欠かせない存在としては、TEAM NACSの音尾琢真さんにも触れないわけにはいきません。
白石 彼の演じる吉田は、実は脚本の池上(純哉)さんが上げてきた最初のプロットには1ミリも出てこなかったんですよ。
なので、「すみません、そこだけはウチの音尾をなんとか」て無理言って(笑)。おかげで、楽しい感じにはできました。
――意外性のあるキャスティングというところでは、日岡の愛人であるスナックママ役を演じた、元乃木坂46の西野七瀬さんなども。
白石 もともとのイメージとは真逆ではありますけど、彼女のもつ清楚さとそのなかにあるツンデレ感みたいな部分は、役柄にもきっと合うっていう直感は最初からありました。
本人は、前作を友達と一緒に観てくれていたみたいで、「まさかあのなかに自分が入ることになるとは思わなかった」と言っていましたけど、もともとあれだけの立ち位置にいた人ですから、役を自分のものにする術は、ちゃんと持ってる。結果的にも起用自体は、わりと成功だったんじゃないかな、と思ってます。