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UPDATE|2021/09/11

『孤狼の血2』白石和彌監督が語る、鈴木亮平&松坂桃李の凄まじさ「ヒドいやつだけど嘘はついてない」

松坂桃李・ 中村梅雀(C)2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会



――完成披露試写の際には、撮影後にホテルまでの帰り道を間違うくらい、鈴木さん自身も上林という役柄には、かなり当てられていたという話もされていましたよね。

白石 そうですね。ただまぁ、上林という男は、やり方こそヒドいですけど、登場人物のなかで実は唯一、いっさい嘘をついていないキャラでもあるんですよね。

誰もが自分の体面や都合で、コロコロと言い分を変えていくなかで、彼だけは最後まで変わらない。嘘をつかずに自己実現をしていくという部分に関しては、鈴木亮平という役者とも非常にリンクしているのかな、って気はします。

――本作を観たあとで、ドラマ『TOKYO MER~走る緊急救命室~』などを観ると、同一人物とは思えないですが(笑)

白石 上林を観たあとだと、ぶっちゃっけ嘘っぽく見えてしょうがないですよね。こんなことを言ったら、ファンの方からは「いや、ホントの鈴木亮平はこっちだわ!」ってツッコまれまくると思いますけど(笑)。

――一方、主演の松坂桃李さんはどうでしょう? 現実世界でも、前作から3年という劇中と同様の時間経過があったわけですが。

白石 賞がすべてとは思いませんが、『新聞記者』のような硬派な作品にも出演して、それがしっかり評価もされたというのが、本人のなかでも自信につながっているところは、少なからずあるんじゃないですかね。

30代前半にして、役者としてもひと通りやりきった感がある。身近に接していても、懐の深さ、余裕みたいなものを感じましたしね。

――それが、前作の役所広司さんが演じた大上亡きあとの日岡というキャラクターの成長ともリンクしている、と。

白石 日岡自身は、大上の後継者として、立場こそその位置にはいるんだけど、“孤狼”と呼ばれるまでには至っていない。

劇中では、冒頭で前作の映像を流用した際にも、あえて大上を演じる役所さんだけは絶対に出さないようにしたんですけど、日岡がまだその亡霊というか、背中を追っかけてる状態だというのは、桃李くん自身もしっかり意識して役作りはしてくれていたと思っています。


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