FOLLOW US

UPDATE|2021/08/26

adieu(上白石萌歌)が初のワンマンライブを開催「みなさんに自分の歌を届けられることが幸せ」

ワンマンライブ『adieu First Live 2021 -à plus- 』Zepp DiverCity (TOKYO)より


そして、16歳のころ、adieuとして初めて声を吹き込んだ楽曲「ナラタージュ」への思いを語り始めた。同名映画の主題歌として野田洋次郎が作詞作曲し、adieuとして顔も名前も伏せて歌うことになった彼女は、同曲への出会いとともに衝撃を受けたと当時を思い返した。制服のままレコーディングをしていたというが、プロデューサーのYaffleはその当時から、今に至るまで一緒に音楽を作っている。「adieuのはじまりの曲です」と紹介し、Yaffleによるローズピアノとadieuの声で始まり、バンドの音が重なって行く。はじまりの曲ではあるが、2021年まで丁寧に音楽活動を続けてきた、その道のりと、そこで得た芯の強さを得たようにも感じられた。

本編ラスト「ダリア」(小袋成彬作詞作曲)は、バンドがはけ、adieuとアコースティックギターを持った大月文太のふたりのみという、シンプルな編成で披露した。アコギを爪弾く中、歌がむき出しの状態。歌い上げたり、癖のある節回しなどないストレートな歌唱だが、倍音が響き、繊細さと力強さが同居し、ふわっと、しかしどっしりと身を委ねられるようでもある。

アンコールでは、再びひとりで登場し、スピッツの「楓」のカバーを。そして、最後にロングヒットを記録中であり、彼女自身が大事にしているという曲「よるのあと」(塩入冬湖作詞作曲)をバンドで披露するという。

「今日ここに立って、歌いながらずっと思っていたのは、本当に私は歌が好きで、みなさんに自分の歌をこうして届けられていることが幸せで、噛み締めていました。もともと音楽が心から大好きで、凹んだ心に空気を入れるようなもので、本当にご飯とか栄養と同じものなんです。adieuの音楽を聴いてくださっている方にも、同じように音楽という空気のように欠かせないものとして届けられたらいいなと思いましたし、これからも音楽を届けられたらいいなと思いました。生きていると、うまくいくことばかりじゃないけれど、ジリジリとした残り火のようなものを歌った曲です。祈りを込めて歌います」。

「歌に救われてきた」という彼女は、会場で音楽を共有するオーディエンスを前に、その空間と時間を感じながら、一音一音大事に言葉をのせているようだった。

「本当に幸せでした。まだまだ自信はないけれど、私なりの美しいものを歌にのせて届けていきたいです。また会いましょう。健やかに! 幸せに! アデュ!」と会場の景色を目に焼き付けるように端から端へと大きく手を振り、ステージ袖へと駆けていった。

彼女がステージを降りると、映画のようにエンドロールが流れてきた。バンドメンバーやスタッフなどのクレジットとともに、この日のライブのメイキング映像が流れている。「ダリア」を披露したときに背景に流れていた映像の写真素材は、彼女自身が撮影した花の写真だった。2017年から密かに活動し、2019年11月に本格的に音楽活動をはじめ、4年越しのファーストワンマンライブとなったわけだが、隅々までadieuの愛にあふれていた。

【あわせて読む】adieu(上白石萌歌)が歌うCHARAの名曲『やさしい気持ち』のMVが完成【動画】

RECOMMENDED おすすめの記事