伊藤 顔合わせ、本読みがあって、すぐ殺陣の稽古が始まったんですけど、そこでコミュニケーションが取れていたかというと、そんなことはなくて。撮影の中盤からやっと話せるようになりました。
金子 僕も自分から話しかけるようにしました。「このままだと良くない!」と思って。
伊藤 してた?(疑惑の目)
金子 してたよ! 好きなアニメの話とか。『進撃の巨人』がいいとか。
伊藤 あぁ、映画館のシーンでした。それまではお互いに探っていました。
――新型コロナウイルスの影響で、撮影が中断したそうですね。
金子 そうなんです。3か月空きました。
伊藤 去年の3月、4月と撮影していて、再開したのが7月でした。撮影も残すところ5日間というところで止まってしまって。
――去年の春頃はエンターテインメントが止まっていた時期でしたよね。ステイホームが叫ばれる中、ご自宅でどんなことを考えていましたか?
金子 映画を観るなどしていましたが、充電したエネルギーを発散する矛先がなかった。それがもどかしかったです。当たり前だった世界ががらっと変わってしまって、人と会うことすらできない状況になるなんて、思ってもいませんでした。当たり前のことにありがたみを感じながら、地に足をつけて役者として生きていかないとって思いました。
伊藤 何もできない自分がつらかったです。でも、そんな中、何かを作って発信している方もいらっしゃいました。配信されていた舞台を観た時に、すごく元気をもらいました。「あっ、これが自分のやっているお仕事なんだ」って思えて。そこで、突き動かされるように自分も何かしなくちゃって感じて、どんな状況でも何かを作り続けないといけないんだなって思いました。
――印象的なシーンは?
伊藤 印象的なシーンしかないんですけど(笑)、やっぱり秘密基地かな。ワゴン車の中に映画部の仲間が秘密の空間を作るんですけど、ああいう場所にすごく憧れを持ちます。私はそっち側の人間だから。ハダシは作れちゃうけど、私は作れない。好きなものに囲まれて、気の合う仲間としゃべって、帰宅する。なんて幸せなんだろうって。