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UPDATE|2021/06/30

元テレ東・佐久間宣行が語るサラリーマン処世術「“何でもやります”は人員整理の材料にされるだけ」

佐久間宣行 撮影/松山勇樹



――佐久間さんにもそんな経験が?

佐久間 自分にも、仕事をまったく断らない時期っていうのがありまして。それは「ある程度仕事ができると認められないと、好きなことできねえな」と思ったからなんです。やりたいことだけやってもダメだなと思って、一度だけ、「何でもやります!」という時期を2年間ぐらい作ったんですよ。そしたら、社内のいろんな人に覚えてもらえて、仕事が舞い込んでくるようになりました。

――一見順調そうですが…。

佐久間 それが、30歳前後に1回、事件がありまして……。よかれと思ってなんですけど、会社の超偉い人が、僕を系列の制作会社に異動させ、ゴールデンの旅番組の演出をやらせようと。キャリアだけで言えば大抜擢。偉い上司は、心底僕のためを思って、「優秀だから、ゴールデンの旅番組をやって、テレビ東京の王道と深夜とで両方をやれた方がよくないか?」と言ってくれていたんです。本当に正しい意見でありがたいことですし、めちゃくちゃ評価してくれていたんですよ。

ただ、その時に「まずいな」と(苦笑)。‟やりたくないことはやらないキャラ“とか、‟お笑いしかできないバカ”って思われないと、自分が本当にやりたいことをこの先、2~3年はできなくなっちゃうかもしれないから。これは嫌われてもいいから、「面倒くさいヤツだな~」と思われた方がいいという風に思いました。やりたくないことをやらせられるなら、面倒くさいヤツでいるということだけは意識しましたね。

――面倒くさいキャラを通す(笑)。

佐久間 「あいつは放っておこう」と思われることですね。結果を出してなければ叩かれますが「それなりに結果出してるなら、あいつは放っておこう」と思われるのがいちばんいいです。

――旅番組のオファーは、どうやって上司に断りました?

佐久間 僕は基本、失礼なことはしたことはないんですが……。その旅番組に関しては、心底考えました。そして、いちばん近しくて力を持っている別の上司にお願いし、「あいつは地方が苦手で、地方アレルギーで……」「旅行にも行けないし……」とか、その都度言ってもらってました、嘘なんですけど(笑)。すると「それなら仕方ないな」と旅番組への異動はなくなりましたね(笑)。

――それは、誰も傷つけない嘘ですね。

佐久間 ひどい嘘もついたことありますよ。家庭が絶望的に揉めていて、出張があるような仕事はできない、家で子育てしないと家庭が崩壊するぐらい夫婦仲が悪いとか(笑)。

――切り札的な嘘ですね。

佐久間 奥さんも社内にいるので、真相に誰も踏み込めない(笑)。裏が取れない嘘をついた方がよいんですよね。その代わり、ニコニコ仕事しているように見えて、あいつ家庭崩壊してるんだ、って社内で思われてたみたいですけど(笑)。

(後編へ続く)

【後編はこちら】元テレ東・佐久間宣行がフリーランスの利点を語る「テレビに合わない企画をやっと放流できる」

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