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UPDATE|2021/04/11

MリーグMVP “魔王”佐々木寿人が語る「運命的な出会い」と「プロ入り秘話」

撮影/松山勇樹

麻雀界の猛者が集まったMリーグという舞台において「魔王」というニックネームで恐れられ、今季の個人成績MVPと最高打点の2冠を獲得する圧倒的な強さを示した佐々木寿人。28歳でのプロデビューという遅咲きのスターの半生と、その強さの秘密に迫った。(前後編の後編)

【写真】麻雀を打っている時のような鋭い眼差しでインタビューに答える佐々木寿人

――今では麻雀ファンの誰もが知る存在の佐々木さんですが、プロになった動機はどのようなものだったんですか?

佐々木 それはもちろん麻雀が大好きだったからなんですけど……。17歳の時ですね。それまでゲームでちょっとやったくらいでルールも何もわからないくらいだったんですけど、初めて友達の家で麻雀をやって「こんなに面白いものがあるのか」と感じたんです。何が良かったんだろう、触れてみた感じとか、牌の絵の美しさか……とにかく運命的な出会いだと感じて、後にも先にもそんなことないんですけど、あまりの面白さに興奮してその日は寝れませんでした。

それで大学に進学してアルバイトをしようと情報誌を見たら、麻雀屋さんのコーナーがあった。「好きなことやりながら給料ももらえるなら、こんなに理想の仕事はないな」と思いましたね。地元が仙台で、バイトしていたのが市内の全国チェーンの雀荘だったんですけど、そこでの成績が良かったから「東京の店に来てみないか」と誘われたんです。

――上京にあたって逡巡するようなことは?

佐々木 ありましたよ、おっかないですもん(笑)。僕なんて田舎もんですし、東京に出てからも「こんなところは住む場所じゃない!」って思っていましたね。店が新宿歌舞伎町にあったからなおさらです。でもその雀荘で、今も同じチームで闘っている前原雄大さんに出会ったんです。

――出会うから前原プロのことを知っていたんですか。

佐々木 はい。当時「月刊プロ麻雀」という雑誌があって、そこですごく面白いコラムを書かれていたので。その雑誌には日本プロ麻雀連盟の成績表なんかも載っていたんですけど、前原さんは一人だけケタが違う強さを誇っていたんですよ。興味があったから、前原さんの打っている後ろで見ていたんですけど、きれいな麻雀じゃないのに「これが本当に勝つための麻雀だな」っていう納得感を感じたんですよね。上がりに向かって一番最短だし、力強かった。店にはほかのプロの方も何人か来てはいましたけど、「この人は強い」って思う人は少なくて。前原さんはそのうちの数少ない1人でしたね。

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